アングラに生きる者

アングラという言葉が闊歩していた頃、自分はさほどスキルが高い方ではなかった。せいぜい、英語で書かれた海外のWebスペースを自分で借りて、CGIを走らせる程度の技術しか持ってなく、もっぱらその手の世界では嫌われるDOMであった。この手の世界では色々な呼び名があった。もちろん、自分が知っているのは極々一部である。

クラッカー
ほんとうの意味でのハッカー。ただし、現在を基準に考えると高度なことをやっていたわけでもなく、当時はどこのサーバーもAnonymousFTPを開いていたので、割と大手のサーバーでさえ、平気で中身の観客情報などにアクセスすることができた。パスワードのクラッキングなどを実際やっていたのはごく一部だったと思う。
ハッカー
その手のツールを開発したりする人。ただし、当時はLinuxの基礎コマンドを使えただけでハッカー扱いだったので、今ほどアテにならない。(場合によっては、レンタルスペースにCGIを設置できるだけでもスキルがあるとか)かなり、Wannabeに属するものが大半だった思われる。大半は、われざーがアップしたアプリなどのプロテクト解除(今で言うところのNoCDバイナリパッチ)を開発するものが多数だったと思われる。まぁ、Jack the Ripperのようなクレジットカード番号生成ソフトとか、Assalut Dialerのようなタダ電ツールもあったようだが、詳しいことは知らない。
われざー
いわゆる商用アプリの違法コピーをする人。なお、ここにはエミュレーターのROMを集める人やMP3を収集する人は含まない。エロゲとか人気があったようだ。ここで流出したアプリは、秋葉原の通称アルヨー集団で転売されていたようだ。
ROM
Read Only Member。もともと読む専門の人で積極的に会議に入らない。この中でもダウンロードのみをする人をDOM(Download Only Member)と呼んだ。結構嫌われる。
クレクレ君
DOMの中でもやたらとリクエストをする人間。かなり嫌われる。
初心者クン、教えてくん
スキルばかりか、常識もなく、平気で直リンクなどを繰り返す。転載して自分でサイトにアップするならまだしも、他のサイトからリンクされているファイルに堂々と直リンクをする。無論、最大限に嫌われる。
スキャン職人
エロ画像、同人誌、規制前のビニ本などをスキャンしてアップロードする職人。連番のJPEG画像をページに貼り付けている人が多かった。おちに、このダウンロード処理を自動化するソフトが現れたが、結果サーバーに負担がかかり閉鎖というするケースが多かった。
アイコラ職人
アイコラとはアイドルコラージュのことで、要は有名なアイドルの画像とエロ画像を自然な形になるよう合成する職人のことをいう。古来から、川辺などに捨ててあるエロ本とグラビアの写真を組み合わせてつくっている連中もいたが、ここでいう職人は、Photoshopなどのフォトレタッチソフトを駆使して作る職人のことである。最近ではめっきり見かけなくなってしまったと思いきや、アニメの剥ぎコラ職人(アニメのサービスシーンなどの画像から下着などの絵を塗りつぶして裸にする職人)として生き延びているようである。
吸出し職人
この表記が正しいか不明だが、エミュロムは当然吸いだす方法が必要である。いわゆるマジコン所有者。これは圧倒的に少ない。実際自分も最近blogサイトを見るまで、「UFOという機械が任天堂に訴えられた」というニュースがTV放映されたときの写真でしか見たことがなかった。マジコンそのものが所有できたのは、おそらく秋葉原にすぐ行けるタイプの人間で、なおかつたくさんカセットを持っていただけで、日本全国でも数十人~百数人ぐらいしかいなかっただろう。あと、もうひとつの意味では、CDをMP3に変換する人。簡単かもしれないが、当時はMac版iTunesすらなかった。また、圧縮してもMP3プレイヤーなんかなかったので、もっぱら落としたMP3をCDに焼いて聞くというのが一般的だった。
MAD職人
今で言うところのMADと何も変わらない。有名なところだと、電通大マニ研部か。
BMS職人
BeatmaniaのクローンであるBM98用の譜面を作る人。容量が少なくて済むので動画の代替えとしても需要があった。

他にも色々あったはず。例えば、ドラッグのような違法薬物の情報である。NHKにようこそ!で有名になったが、マジックマッシュルームの育て方、抗うつ薬をハッピードラッグとして使う方法、そういったものを個人輸入する方法などを掲載していたサイトや人間のことをどう呼んでいたか知らない。

エミュレーターと著作権

今でこそ、例えばスーパーマリオワールドのROMが欲しい場合は、Googleで、marioと、拡張子のsmcとか、ROMZとかのワードで検索かければ簡単にスーパーマリオのROMイメージが手に入るが、この当時はアップする方も落とす方も結構大変だったのである。そもそも、ロボット型検索エンジンすら無いし。最近改造マリオが流行しているが、以下のように書かれているのをよくみかける。

エミュレータでゲームをプレイするにあたっては、自分が所有している実機から吸い出したROMイメージを使用しなければならない。ROMイメージをインターネット経由で入手したり、人に借りたゲームから吸い出したりすることは著作権法違反になります

しかし、カセットは根気よく中古ショップへ買いにいけば見つかるかもしれないが、マジコンそのものがない。つまり、ネットからダウンロードしたり誰かから譲渡せずに正規の方法でパソコンに落とす方法など存在しないのに、こういう表記をするのは、あきらかに下手な言い訳としか考えられないと思うが。

ついでにいうと、スーファミのゲームは当然ながらスーファミで走らせる事が前提である。(ファミコンはとっくに失効しているのでハードウェア的には問題ないかもしれないが、後期のカセットはメーカー独自で勝手に拡張していた1のでそっちの著作権の問題がある)それを別の方法で走らせたとしたらその時点で、BIOSの著作権、CPUの著作権、特許法や同一保持権に引っかかるだろう。実際あった事例としてMac用スーファミエミュには、snes9x以外に、Silhouetteと呼ばれるものがあってsnes9xよりも再現性が高かったが、任天堂に訴えられて解散ということがあった。(実際はsnes9xチームに移ったらしいが)しかも、その開発者は元任天堂社員といううわさも・・・。

もっともエミュレーターそのもの(リバースエンジニアリング)には、違法性がないという裁判結果がでているので、解決しているように見えるが、問題はそれだけではない。つまり、カセットそのものの形状にも著作権が存在するので、そこでも面倒な問題が発生するはずである。(具体的事例として、ライセンス回避のためにスーファミ唯一のアダルトゲーム「SM調教師瞳」シリーズではジーコサッカーのような売れなかったゲームのROMの内容を書き換えて売っていた。)ハックロムについては、プロアクションリプレイのようなコード改造が違法でないという判決が出ているため問題はないように見える。しかし、プロアクションリプレイの場合は、実行中のソフトのメモリ空間にパッチを当てる行為であって、中身のコードを書き換えるわけではない。ハックロムの場合、このソフトそのものを書き換えてしまうため、引っかかる可能性がある。(またハックロムの多くが別のゲームからグラフィックを流用しているパターンが多いので、その別ゲームの著作権の問題もある)

ちなみに、VirtualPCやSoftWindows(RealPC)は元々仕様が公開されているPC/AT互換機のエミュレーターなのでこのような問題は発生しない。また、X68000エミュは後からメーカーが許可を明言しているのでこれも問題は起きない。蛇足だが、VirtualPCの当時の開発元であるConeectix社はMacユーザ向けにConnectix Virtual Game Station(CVGS)というPSエミュレーターを開発し、これを見たApple社もMacintoshにバンドルするというサプライズを行う予定だったが、結局Sonyに訴えられて立ち消えとなってしまった。商用アプリということが問題だった可能性が高い。

この訴訟を境に、エミュレーターは、商用だったりシェアウェアのような金銭の絡むものは減っていき、オープンソース化が進んだ。やはり、金銭が絡む以上,他人のふんどしで相撲をとるような行為は、めんどうだからかもしれない。それ以前に、開発者としても情報が集まりやすいというメリットもある。したがって、最近開発されている、PS2エミュレーターpcsx2や、GameCube/WiiエミュレーターDolphinNDSエミュレーターDeSmuMEなどは、すべてオープンソースかつフリーである。

もう一つ特徴的なのは、アーケードゲームエミュレーターMAMEに始まり、PSエミュレーターePSXeで有名になったプラグイン設計だろう。つまり、サウンド部分、グラフィック部分、コア部分など、エミュレーションする部位単位でモジュール化しているという点である。コンパイル環境が必ずしも同一でないため、速度や安定性の面では若干デメリットになると思うが、プログラマーによって得意不得意が出るのをカバーできたり、速度向上や精度の向上を含めた新機能をすぐ追加できるので、結果的に開発が早くなるのである。

一方、逆にゲームメーカーが著作権を違反する例も存在する。有名な話だと、ジャレコが自社のファミコン時代のソフトをGameBoy Advanceに移植する際に、GPLで配布されているGBA用NESエミュレーターのソースコードを流用する事件が起きた。発覚したのは、オリジナルと同一のバグがあり、不審に思った人がバイナリを調査したところ、NESエミュレーターのバイナリの残骸を含んでいたことかららしい。

エミュレーターとはあまり関係がないが、最近の事例だと、クロスコンパイラの普及のためか、ソースコード流用が多い。PS2のあるゲームのグラフィックと音楽と名前だけを書き換えてPSP用の別のゲームとして売り出したこと(正確には、会社と制作チームが分離して、会社側の人間が別の会社でそのゲームのソースコードを流用したのが真相らしい)があったり、PS2用にかかれたソースコードを別会社がXBOX360に移植する際にソースコードをまるまる流用(しかも、目に余るバグのひどさ)して信用問題になったりと、作る側のモラルも崩れていたりする。

もっとも、PSのModChipが流行した当時は、開発の機体の経費を浮かすため、そこそこ大手のゲームメーカーもでも、デバッグ用にModChip改造したPSを使っていたらしいが・・・。(開発用のデバステの価格が20万程度に対してModPSはゲーム機の価格+チップ代で済むし)

というか、これらのゲームのほうがよっぽど黒歴史なのでは?(ここで示されているゲームの内容の善し悪しとは関係ありません)

画像偽造のはなし

エミュROMに限らず、ファイルを配布するときどうするか?これは重要な問題である。当たり前だが、そのままファイルをアップロードするわけにはいかないし、ファイルの容量がでかいとその時点で目が付けられる。最初の時期はZip圧縮やLZH圧縮したものを分割し、それをいくつかの無料Webスペースに置くのが一般的だった。当時の無料Webスペースは、5M~10Mぐらいが限度で、スーファミのROM1個置くだけで使いきってしまうという計算になる。また、アクセスが多いファイルは当然サーバーから見れば目に付くというわけで、真っ先にアカバン対象となった。(そういう意味では、xoomの100Mというのは驚異的だった)

で、拡張子を画像にしてアップすればいいという感じで、ファイル名と拡張子を変更してアップする手段が考案された。しかし、その直後に実際の画像に埋め込む方法、特にGIFに埋め込む方法が広く定着したため本当にこの時期は短かった。このGIF偽装の原理は、画像のバイナリのメタデーター部分にファイルを埋め込むというもので、ブラウザからみると通常の画像のように見える。これを、適切な解凍ソフトで画像からファイルを取り出すという手段が広く定着した。

また、同時期にWindowsではGetRight、ReGet、Iria、Macユーザならファイルキャプターさくら(Windowsにもデーターキャプターさくらというソフトがあるがそれとは別物)といったダウンローダーが開発されこれを併用して連番ファイルを自動ダウンロードというのが一般的だった。しかし、この方法では連番の同じ容量で、同じ画像ファイルがサーバー上に置かれることになり、不審に思ったサーバー管理人から消されるということがよくあった。

極めつけは御茶義理というソフトである。なんと、ファイルを分割するだけではなく、容量バラバラ、しかも画像ファイルとしてちゃんと読める形式で分割できる。これならば足が付く可能性は低い。しかし、やはりアクセス数から不審がられて消されることも多かったようである。結局GIF偽装どまりが多かった気がする。

末期になってくると、あゆ板と呼ばれる、掲示板に投稿しないとダウンロードするアドレスが出ないというシステムが現れた。またアカウントを削除されるのを防ぐため、指定回数以上アドレスを表示すると、それ以降は表示されなくなるというシステムもあった。自分が作ったソフトでないのに、お礼を書かせるというシステムは恩着せがましいにも程があると思うが、ただでさえアクセスによってアカウントごと消される時代である。そうでもしないと運営はできなかったであろう。それでも、ファイルの一部分が消えているという話はよくある話で、あまり意味をなさなかった。なお、自分はこのころはネトゲにはまりつつあった時代なので、とっくに足を洗っていた。

なお、このあゆ板の「あゆ」とは浜崎あゆみのことではなく、当時流行したKanonという美少女ゲームに出てくる「月宮あゆ」の事である。他にもなゆ板(これもKanonが元ネタらしい)やさくら板(CCさくらが元ネタ)など様々なバリエーションがあった。

ファイル圧縮の話題

一般的に、Windowsでは、国内のものはLha(*.lzh)、海外では、WinZip(*.zip)が多く使われていた。もっとも、Midiファイルに限った話ならば、lzhの方が多かった気がする。解凍ソフトはLhasaと相場が決まっていた。他にもLhachaなどあったようだが、無料ということもあって、それだけ多くLHA形式使われていたのだろう。

Macユーザは、一部Compact Pro(*.cpt)やMacLHA(*.lzh)、極稀にDiskDobler(*.dd)が使われていた(余談だが、DiskDoublerの開発元はNortonである。現Symantecだ。)が、主流はやはりStuffit(*.sit)だった。これらはあまり変わりがない。MacLHA以外のMacのアーカイバーはどれも、圧縮分割可能で、なおかつ自己解凍形式が作れた。2少なくとも、StuffitはMacLHAよりも圧縮率よかった。最終的には、Stuffitに落ち着いたが、今となってはWindowsXPのようにOS標準でZip形式をサポートしたこともあってか、Zipが主流になりつつあるようだ。もっとも、解答においてはDDをのぞいて、すべてOSに付属しているStuffit Expanderで解凍できたのであまり混乱はなかった気がする。もっとも、そのままアップするとリソースフォークが化けるので、*.hqxや*.binにエンコードしなければならなかったが。

あと忘れてはならないのが、この時期様々な圧縮形式が登場した事である。今よく使われている圧縮形式は、この時期進化したものが多い。具体例を言うと、GCADeepFreezerRARなどである。しかし、今でも使われている形式は、RARぐらいしかない。GCAは一応カプコム製ゲームソフトのデーターの圧縮形式としてそれなりに使われているようだが、初期バージョンではCRCチェックがないなどかなり致命的な問題を抱えていた。

これだけ、多くの圧縮形式がでたのは、やはり通常の圧縮形式だとバレやすいという理由もあったかもしれない。RARは特に大容量のファイルを圧縮分割するのによく使われてた。で、LZHは逆にシェアが減る傾向があった。ある時期を境にみんなRARになった気がする。この傾向は、フリーで圧縮率がRARを上回る7zipが発表されてた今でもまだ続いており、例えばTorrentで分割されたファイルやゲーム機のROMイメージ系サイトでも圧縮形式がRARであることが多い。

ちなみに、韓国ではALToolsという会社が開発しているALZip(*.alz)が使われていたようだ。日本で言うところのLZHのようなものである。LHAはMidiを圧縮するのによく使われたからか、海外でも知名度はそこそこあるが、ALZは韓国国内で使われるのにとどまっているようだ。

実際どういうファイルが多かったの?

んー、やはり興味や目的によりけりといったところか・・・。ModChipが流行しだした頃は、PSもあったが、多かったのはエロゲだと思う。エロゲに関しては詳しくないが、当時は音楽はPCの性能の都合上CD-DAになっている場合が多く、オリジナルではディスクいっぱいに入っているゲームでも、実際のゲームデータはせいぜい150Mぐらいしかなかったようである。今のようにボイス入りというのもなかったしね。したがって、いかにして音楽部分の容量を削るかが鍵になってくる。で、当時話題になりだしたMP3で音楽部分の容量を削ってトータルの容量を300Mぐらいに抑えて分割して配布することが多かったようである。これはPSにおいても同じであった。

しかし、300Mといえども、数十Kbのファイルに分割したらどうなるか?数千の分割ファイルをダウンロードしなければならない。おまけにすぐ消される。

ちなみに、自分の大学のあるサークルでは、学校内のサークル向けにWebスペースを提供していたが、それは表の顔で、同じパソコンで裏でダウンローダーを起動していた。しかも、のちのWinMX時代になると代わりにそれを常時起動していた。これは、大学がプロクシでポートを閉鎖するまで続いた。結局バレたのはそうでないのかは定かではないが・・・。

市販ソフトもあったが、シリアルは別に調べよというパターンが多かったようだ。実際にシリアル番号のみを集めたサイトも多かった。極稀に今で言うところのキージェネを配布しているサイトがあったぐらい。

中にはkモノとよばれる、デモ版と製品版の差分を配布するもので、簡単に言うとデモ版にパッチを当てて製品版と同じにしてしまうというものだった。これは数はすくなかったが割と生き残ったようである。ResComplete(だったっけ?陰陽のアイコンだった)というフリーウェアのパッチソフト(今でいう、IPSパッチのような物)があったMacintoshに多かったような気がする。(Macのソフトは市販でもインストーラーが無く、アプリのフォルダをドラッグアンドドロップするだけで動くものが多数だった)今でも、キージェネ系のアプリケーションのアイコンが陰陽マークなのは、このへんにルーツがあるのかもしれない。

海外ハッカーの嗜み

蛇足だが、海外製のキージェネ系アプリやチートアプリ、カスタムファームウェアのインストーラでは、時折電子音の音楽がなることがある。これは、Amiga時代に普及したMOD形式(もしくは派生)の音楽や、コモドールC64で使われた音楽であるSID形式を抽出したり作ったものである。この動画はC64時代で名曲とされたアウトランのBGM。SidPlay2で再生可能だ。

Error: Flash Player Cannot Installed.

こういうものは、嗜みのようなものなんだろう。

MADビデオ

自分の場合、高校時代の知人から九州の大学を通じてビデオテープのコピーが回ってきた。内容はセーラームーンのMADが多かった。一番笑ったのは、右のJOJOの奇妙なビブリボンである。アングラサイトに出回った動画の大半はこういうMADである。使われた圧縮形式はDivX 2.xだったと思う。パソコンの性能の問題もあるが、動画のサイズは必然的に小さく、QVGAで高画質と言われた。

このDivXも今でこそ、有名な圧縮形式だが、当時はMicrosoftの流出コードをベースにしているという疑惑があった。ともあれ、驚異的な圧縮率を誇ったのは事実で、実質大半の動画がこれだったようだ。詳しいことは知らないが。ともあれ、アニメやドラマ一話ならまだしも、数分の動画をダウンロードするのに、数十時間かけるのは現実的でない上、ビデオキャプチャカード自体10万する時代なので、実際賑わってくるのはWinMXの時代からである。Web共有の時代でむしろ一般的だった動画は、後述するBMSAである。

以下は、この当時の代表的なMADである。コミケなどで流通したようだ。有名所は、電通大まに研部と、はじおうだろう。近年ではニコニコ動画で色々なMAD作品がアップロードされているが、当時は数GのHDDが7,8万する時代である。そんな状態なのでおそらくビデオデッキを複数台つないで作ったと思われる。それでも、膨大な量のアニメから音楽にあったアニメのシーンを抜き出すことは容易ではない。

具体的に、はじおう氏製作の「おたくのMADビデオ97」に入っている「Should be do be 砂沙美ちゃん」を例にすると、ソースとなっている動画は、魔法少女プリティサミー1話、天地無用!魎皇鬼の7話、それから、コアなファンしか知らないミュージックビデオのアニメ画像を組み合わせていると思われる。同じ系統のアニメならばストーリーにつながりがなくてもつなげるというセンスはいま見ても見ごたえがある。「味っ子ウィング」の場合、当時放映されていたガンダムWのオープニングにミスター味っ子の動画を載せたものだが、同じサンライズ制作で、同じ声優が出ていたので、わざとスタッフのテロップを残しているとコピさせてもらった人から聞いた。(もっとも、コピーさせてもらったビデオは、ダビングにダビングを重ねていたせいか画質は非常に悪いものだった)

PluginRenderer::executePluginBlock(): Plugin #floatclear() is not implemented.

オウム真理教MADだが、自分が知っているバージョンは映像のテロップで「サブリミナル効果によって正常な思考を奪われる」だったか入っていた。オリジナルはニュース番組のアニメ画像を流用したのだろう。このアップされている動画は、のちの流出版を組み合わせて消したと思われる。

それにしても、MADは何の略だろうか?おそらく、AはAnimeのAで、DはDirectionのDなんだろうけど、Mがわからん。Morped Anime Directionか?それとも、ぐちゃぐちゃにつなげ合わすからMontaged Anime DirectionのMか?いや、結合しているからMarged Anime Directionの略かもしれない。個人的には、VJ(VideoJocky)とやっていることと同じだから、AVJあたりにしておいたほうがかっこいいと思うんだが・・・。まるでmadじゃあキチガイだぞ。

BMSの世界

BMSとはBM98というbeatmaniaクローンの譜面のファイルのことである。beatmaniaのクローンごときでなぜアングラ扱いか?クローンである以上Konamiが主張する特許に引っかかり訴えたというものもあるが、真相はそれによる法律知ったか厨による掲示板荒らしが原因のようである。

ともあれ、音ゲーということもあり、普通に売られている曲を小節ごとに分解して楽譜にして配布しまくってたわけだから、MP3の問題と同じ問題が発生し地下にもぐるのは必然だっただろう。BM98はそもそも、音ゲーであり、簡単なアニメーションがあればいいので、MAD職人と組み合わさっておかしな現象を生んだ。ドラえもんと北斗の拳を混ぜたBMSAを作る人がでて流行。

この動画のBMSは、中盤のアタタタタタタという部分を除いてほとんど入力する部分が無い。(しかも判定が甘い)このことから、見るのを重視したBMSであることがよくわかる。ちなみに、このBSMを配布していた人は、藤子不二雄Aプロダクションと訴訟沙汰になったとの噂が・・・。

ドラえもんを題材にしたBMSによるMAD作品は90年代末頃からFlashの時代になりすたれるまで流行した。FlashにおいてDorawasabiや、オラエモンなどといったシリーズに影響を与えたであろうことは想像に難くない。

BM98はそのものWindows用だったが、フォーマットが公開されていたこともあり、Macintosh移植版も存在した。

エミュレーターの流行

アングラサイトを語る上で、やはりエミュレーターの話題は欠かせないだろう。90年台末期のエミュレーターの再現率は初期のファミコンソフトこそ問題なく走るものの、ドラクエ4などはまだ正確に走らなかったり、スーファミにいたっては、半透過処理がついていなかった。こうした、エミュレーターの流行は、やはり容量が少ないことが大きいだろう。大きいものでもせいぜい6メガ程度である。

また、この時代のエミュレーターの開発の進化は早く、数週間で新バージョンという時代でありそのたびに再現性が向上していた。だから、ニュースサイトなどはかなり賑わっていた。有名ドコロだと、志保ちゃんのエミュレータニュースエミュレーター文化会館あたりだろうか。いずれも、はっきりいってたてまえだが、ROMの話をすることはご法度とされた。

90年代末期、ファミコン決死隊というファミコンやスーファミのROMを次から次へとアップし、話題になったサイトである。<スタブ>結局、あっという間に摘発されてしまい、ニュースにも乗る自体になってしまったが、それでも、今流通しているスーファミのROMの大多数は、ここからのコピーという噂がある。ちなみに、当の本人は、現在はレトロゲームの攻略をやっているようだ。内容こそゲームの実況動画ではあるが、同じサイト名を使うだけでなくこの事件のことを掲載しているあたり開き直りすぎな気もするが・・・。何もそこまで暴露しなくても。

昔と今

今日日のネットユーザは、グレイというか違法行為をしていますという認識が足りないんじゃないかな。平気で、売られている音楽を自分の動画のBGMに使ったり、アニメとアニメをつなげてオリジナルを主張したりゲーム動画アップしたり、勝手にボーカロイドに歌わせてみたりと。いくら、作者が許可していても、CDの販売元や、の著作隣接権が絡んでくるパターンもある。主題歌などで使われている場合、そちらの方にも隣接権が発生する可能性がある。(主題歌の場合、番組の内容をモチーフに曲が作られることが多く無関係であるとは限らないからである)なんにせよ、メーカーや著作者が大目に見ていることを忘れてはならない。そりゃ、著作権料動画投稿サイトが払っているので法的には問題ないけどね。

かといって、上の段落で述べた内容を、行く先々の動画のコメントや、blogなどで空気を読まず発言する連中は、とてつもなくウザイ。おそらく、自分は正しいことをやっているんだと悦に入っているのだろう。「○○は違法コピーユーザ」とか「○○はチート」のような。実際問題として、BM98はそれによって開発が一度停止に追い込まれた。しかし、所詮同じ穴のムジナである。安易に法律をひけらかしているとロクなことにならない。揚げ足取りは昔も今も嫌われる。こういうものを法律知ったか厨という。

なお、ここに書いてある法律関係の話題は、あくまでも、ネタである!絶対に他のサイトや掲示板から引っ張らないでほしい。まぁ、揚げ足取り、KYと言われ、ネトヲチ板で「殿堂入り黄金厨」と祀られてもいいなら話は別だが・・・。

なぜゲーム改造は著作権違反にならないのか?

法律というのは、厳密なようでどうとでも解釈できるものである。一番いい例が、ゲーム改造ソフトがそうだろう。ゲームを正規の方法で走らせないわけだから一見著作権侵害、同一保持権侵害に見える。しかし、実際の判例では、日本海外問わずいずれも申告した方に敗訴が下っており結論から言うと「合法」である。というのは、ゲームそのものには著作権は確かに存在するが、ゲーム機で走らせている状態には原則的に著作権は認められない。つまり、どう走らせていてもそれは利用者の自由なのである。(そもそも、それに対して著作権が発生するならば、ゲームメーカーはいかなる環境においても同一に動作することを保証しなければならない。テレビ、音響、プレイ環境も含めてである。)ゲームメーカーの主張は、映画を例にすると、映画の見かたも束縛するものであり、「ホームシアターで見なければならない」とか、「音響は最低限5.1chスピーカーを接続しなければならない」というのと、同意義である。「ゲーム改造」という意味で映画に置き換えると、「2分割表示できるテレビで片側で映画を見て、もう片方で通常のテレビを観る行為」と考えれば分かりやすいかもしれない。

これまでは、ゲーム機の話だが、パソコンゲームだとさらにややこしい。いかなる状態もありうる。例えば、ゲームメーカーが「メモリを改変することは、著作権違反になります」と主張すると、アンチウィルスソフトも違反になってしまう。それ以前に、どの状態がメーカーの言う状態なのかという定義も危うい。例えば、ドライバはハードウェアにとって最適なパフォーマンスが出るように、処理にパッチを当てることなので、この時点で著作権違反である。そう考えるといかに、とんでもない主張だということがわかるだろう。もちろん、そんなゲームメーカーの主張が法律で通るわけがない。繰り返すが、プログラムの動作した結果については著作権は認められない。すなわち、フェアユースとなる。

例外なのはアーケードマシンでと、オンラインゲームである。オンラインゲームの場合、サーバーに干渉したとたん不正アクセス法に抵触する。(干渉しないModの場合は問題ないが)アーケードマシンの場合、パチンコの不正改造をイメージするとわかりやすいが、金品が絡むため詐欺罪となる。これはオンラインゲームにおいても同じである。結果的にお金を増やしたり他者のアイテムを盗んだりすと、偽計容疑になる。ただ、残念なのは利用者がゲーム上で得たゲーム内の財産に対してプレイヤーは所有権を主張することができない(どこのメーカーも認めてない)ため、被害者は泣き寝入りすることになる。

ゲームサーバーに対する不正行為で過去に何人も逮捕者も出ているが、ここでの被害者はあくまでもその運営会社であり、運営会社はいかなる場合であっても、被害にあったプレイヤーに対してはなんの保証もないし、保証する義務もないことを忘れてはならない。